ストーリーづくりについて: Storytelling Workshop

研究会で取り組むストーリーづくりは、イギリス(イングランド)で活動するIn Defence of Youth Work(以降IDYWと略)が開発したStorytelling Workshopをベースにしています。
IDYWは、ユースワークを取り巻くイングランドの状況(自主性を重んじ、誰もに開かれたユースワークの本来的価値が、活動の「成果」を短期スパンで数値で示すよう求める国の政策動向によって揺るがされる状況)に危機感をもったユースワーカーや研究者が集まり、2010年に組織された団体です。
IDYWでは、政策が求める数値的「成果」とは異なる形で、ユースワークの価値を社会に示すために、ユースワーカーから実践のストーリーを集め、論じ合い、表現の形にする方法として、Storytelling Workshopを開発しました。詳しくは後述しますが、ワークショップでは、‘なにがユースワークか?(What is Youth Work?)’という問いを軸に、参加者それぞれに実践を振りかえり、’これがユースワークだ(This is Youth Work) ’と思える自分の経験をストーリーとして語り、聴き合い、掘り下げていきます。
実践を語り合い聴き合う活動は、実践者が、自分たちの実践の省察を通じて、ユースワークの本質や価値を確認し、共有化し、言語化しあうプロセスとなります。それは、仕事の価値を「成果」によって評価しがちな社会の趨勢に絡め取られず、自分たちの仕事にふさわしい形で、その価値を世に問える「言葉」と「拠点(場)」を生み出すプロセスです。

この取り組みを通じて、IDYWでは「これがユースワークだThis is Youth Work」という12の実践を掲載した冊子を刊行しました。

ストーリーづくりのプロセス

以下では、私たちが研究会として取り組んでいるストーリーづくりのプロセスを簡単にご紹介します。ただしこの内容も今後随時練り直され、アップデートしていく予定です。
ストーリーづくりに取り組みたい団体・組織には、ご依頼があれば、本研究会からの出張コーディネート等についてご相談に応じます。

【1】ストーリーを話し、聴き合う場をつくる(ストーリーテリング・ワークショップ)

  1. ワークショップの目的と流れを共有
    実践を話す際には、個人の名前や場所はできるだけ匿名化すること、また参加者は、ここで聞いたことを外で話さないことを確認しあう。
  2. 3~5人程度のグループに分かれる
  3. 参加者がそれぞれに自分の仕事をふりかえり、これが本来の若者支援(ユースワーク)だと思える実践の場面・経験を考える
  4. 各自のストーリーを1分程度ずつで話し、聴き合い、いくつか尋ね合う
  5. グループで話し合いながら、その場で取り上げるストーリーを1つ選択する
  6. 選択したストーリーについてあらためて、5分程度で少し詳しく話す
  7. 聴き手が様々な点を尋ね(Unpickng)、掘り下げながら、ストーリーを分析していき、最も重要なものは何なのか、確認しあっていく。

【2】 ストーリーを書き(描き)、読み合う場をつくる(Documentationドキュメンテーション)

  1. ワークショップで取り上げて掘り下げたストーリーの話し手は、内容を文章で表す。
  2. 表した文章を、実践者が集い読みあう場をつくり、ストーリーのエッセンスや軸(これが本来の若者支援(ユースワーク)だという点)が広く伝わりやすくなるよう、話し合う。
  3. 書き手(描き手)は文章を推敲する。(その後、あらためて読み合い、推敲する)
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